下を向いていたら虹を見つけることはできないよ

You’ll never find a rainbow if you’re looking down.
「下を向いていたら虹を見つけることはできないよ」

喜劇王チャップリンの言葉です。有名な言葉ですから、どこかで聞いたり目にしたりしたことがあるかもしれませんね。その意味や発言の真意などについて、改めて解説も注釈も必要がないといっていいでしょう。

喜劇王と聞くと、常に明るい笑顔やユニークな演技で屈託のない人柄を想像しがちかもしれませんが、チャップリンは必ずしもそうしたイメージのような人生を送ってきたわけではありません。貧困のなかで幼少期を過ごし、舞台俳優として生計を立てるようになってからもそれほど売れることはなかったようです。

20代半ばになり映画に出演するようになると、有名なだぶだぶズボンに大きなドタ靴、ステッキに山高帽というスタイルが人気を博すようになりました。また、映画人として世界的な評価を得てからも、必ずしも順風満帆というわけではなく、さまざまな困難に向き合ってきました。

そうした、いわゆる波乱の人生を知ることによって、You’ll never find a rainbow if you’re looking down.という言葉も、それ以外に多く残している格言も、その一つひとつの言葉の重みが一層よく理解できるのではないでしょうか。

そんなときにも希望を捨てず、常に前を向き、上を見上げて生きる。一見、楽天的ともとれる人生も、いくつもの困難に向き合い、切り拓いてきたチャップリンだからこそ、その言葉が重みを増しているといえるかもしれません。

文:有澤 隆